OYAJI STRINGS
バイオリンの指板と弓を、スマホの画面にそのまま写した練習道具です。 楽器を触ったことがなくても大丈夫。ここでは、画面のどこが何なのか、 どう触ると音が出るのかを、実際の画面といっしょに順に説明します。
画面は大きく2つに分かれています。右が指板——左手で押さえるところ。 左が操作盤——いま鳴っている音や、調・録音などの道具が並びます。 指板の下にある帯が弓ゾーンで、ここが右手(弓)の代わりです。
むきについて 縦持ちが演奏、横にするとチューナーになります。演奏の途中で横にしても 勝手にマイクは開きません(案内が出るだけです)。
開くと、まずこの面が出ます。ここを押すのが「はじめる」です。 ブラウザは、人が触るより前に音を出すことを許していません。 この面を押した時点で音の準備をひととおり済ませるので、1音目から遅れずに鳴ります。
触れたまま指を上下に滑らせると、音の高さが半音ずつ変わります。 斜めに滑らせれば隣の弦に移ります。まずはここで、下へ行くほど高くなることを 耳で確かめてください。
音が出ないとき 端末が消音(マナーモード)になっていないか、音量が下がっていないかを見てください。 iPhone の場合、横のスイッチが消音側だと鳴りません。それでも駄目なときは うまくいかないときを見てください。
バイオリンには、ギターのようなフレット(金属の仕切り)がありません。 指で押さえた場所が、そのまま音の高さになります。 だから「どこを押さえるか」を覚えることが練習の中心になります。 この画面の右半分は、その押さえるところ(指板)を、弾く人から見たまま写したものです。
実物とまったく同じ理由です。半音上げるには、振動する弦の長さを毎回 同じ「割合」だけ短くします。長さが残り少なくなるほど、同じ割合でも 実際に動く距離は小さくなる——だから下へ行くほど点が詰まります。
左がふだんの盤、右が音を鳴らしているところです。並べて見比べてください。
ふだんの盤
鳴らしているところ
バイオリンでは、同じ高さの音が別の弦にもあります。ある点を押さえると、 同じ音が取れるほかの位置に輪が付きます(右の図の②)。 「この音は、隣の弦のここでも取れる」が目で分かるので、運指を考えるときの助けになります。
左の操作盤に並んでいる4つのボタンで、音の出しかたを選びます (4つめのチューナーはあとで)。 変わるのはどこを触ると鳴るか——2枚を見比べてください (指板の下のほうと、その下の弓ゾーンを切り出しています)。
| モード | 触るところ | 鳴りかた |
|---|---|---|
| タップ | 指板 | 触れている間だけ弓の音が持続します。撫でると音程が動きます。 |
| ピチカート | 指板 | 触れた瞬間にはじいた音が鳴り、そのまま自然に消えます。高い音ほど早く消えます。 |
| ボウイング | 指板+弓ゾーン | 指板は押さえるだけ。弓ゾーンに触れている間だけ鳴ります。実物にいちばん近い触りかたです。 |
はじめての方へ まずはタップで、指板の場所と音の高さを結びつけてください。 左手と右手を分けて考えられるようになったらボウイングに移ると、 実物の「押さえる/弾く」がそのまま練習できます。
モードのボタンを長押しすると、弦と弦のあいだに点が出ます。 1本の指で隣り合う2弦を押さえるための点で、どの組み合わせも完全5度になります。 もう一度長押しすると消えます。ふだん出していないのは、 常に出ていると単音が狙いにくくなるからです。
指板の下にある帯が弓ゾーンです。ここは右手(弓)の代わりで、 4本の弦がそのまま4つのレーンになっています。
タップとピチカートのときの弓ゾーンは、音を出す場所ではなく、 弓の強さを決めるだけの面になります。 開放弦は指板のいちばん上の点で、重音は長押しで出る点で鳴らせるので、 鳴らす手段が減るわけではありません。
キーボードでも 弓ゾーンに焦点を合わせて↑↓を押すと、弓の強さが1段ずつ変わります。
そのまま横に滑らせると、単音と重音が続けて変わります。 共通の弦は鳴り続けるので、実物で弓を傾けていくときの感じに近くなります。 同時に鳴らせるのは2声までです。
左上のカードには、いま鳴っている音が五線と名前で出ます。 指板の場所・音の名前・楽譜の位置——この3つを結びつけるのが、このアプリの目的です。
指板の濃い点が入れ替わります。 選んだ調で使う音だけが濃くなるので、 「この曲で使う音はここ」が見た目で分かります。調から外れた点もそのまま鳴らせます。 五線の調号も一緒に変わります。
バイオリンは開放弦(G・D・A・E)と縁の深い調がよく響きます。 その調の中心になる音が開放弦だと、押さえていない弦まで一緒に鳴って (共鳴して)豊かに聞こえるからです。このアプリでも、共鳴する開放弦は実際に鳴ります。
| 調 | どんな調 |
|---|---|
| ニ長調・イ長調・ト長調 | いちばんよく出てきます。中心の音(レ・ラ・ソ)がどれも開放弦です。 教則本の最初もこのあたりで、鈴木メソードはイ長調から始まります。 |
| ホ短調・イ短調・ニ短調 | 短調ならこのあたり。やはり開放弦が中心に来ます。 |
| ハ長調 | ♯♭が付かないので楽譜は読みやすいのですが、 中心の音(ド)が開放弦にないので、弦楽器では意外と勝手が違います。 |
| 変ロ長調・変ホ長調(♭が多い調) | 管楽器の得意な調です。弦楽器には少し窮屈で、出てくるのはもう少し先になります。 |
迷ったらニ長調かイ長調から始めてください(このアプリの最初もニ長調です)。
左の操作盤の「指番号」から なし/第1ポジション/第3ポジション を選べます。 選ぶと、指板の丸の中に押さえる指の番号(1〜4)、右上にその音(ドレミ)が出ます。
音名の♯・♭は書いていません。五線の調号と同じ約束です。 そのぶんその調の音にしか付けられないので、 その調の音でない開放弦には音名が出ません (たとえばイ長調では、G線の開放は調の「ソ」ではないので出ません)。 正確な音名は現在音のカードに出ます。
大事なこと ここに出るのはその調の基本の手の形であって、唯一の運指ではありません。 実際は前後の音で変わります——低い指を先に置いて目印にする、開放弦を避けて隣の弦で取る、 スラーの都合で指を替える、など。出発点の目安として使ってください。
教則本やネットの指板の一覧表(ポジション表・フィンガーチャート)とも見え方が違います。 あちらは半音ごとに全部の点へ「低い1・高い1・低い2…」と振った、どの調でも同じ1枚の地図。 この盤はその調で実際に置く4点だけです。 表で場所を覚え、この盤でその調の形をつかむ、という使い分けが向いています。
ためしてみる ニ長調・第1ポジションで開く / ニ長調・第3ポジションで開く
左の操作盤に 442 Hz と出ている箱があります。これは 「ラ(A)を、どの高さの音とするか」という決めごとです。 ここが決まると、ほかの全部の音の高さもそこから決まります。
「ラ」の高さは、世界共通に決まりきってはいません。 国際的な標準は A=440Hz ですが、実際の演奏はもう少し高めで、 日本のオーケストラは 442Hz が多く、ヨーロッパには 443〜445Hz のところもあります。 少し高いほうが明るく張った響きになるからです。 逆に、バロックの時代の音楽を当時の姿で演奏するときは 415Hz(ちょうど半音低い)を使います。 このアプリが 415〜445Hz から選べるのは、そのためです。
変わるのは高さだけ 基準ピッチを変えても、音の名前も五線の位置も変わりません。 実際に鳴る高さがすこし上下するだけです。
箱に出ている 「440Hz比 +8cent」は、標準の 440Hz と比べてどれだけ高いか。 cent は半音を100に分けた単位なので、442Hz は 440Hz より 8cent 高い、という意味です。
ためしてみる
440Hz で開く /
415Hz(バロック)で開く
同じ点を押しても鳴る高さが変わります。音の名前は変わりません。
「波形」のカードには、鳴っている音の形がそのまま出ます。 弓の音は連続した波、ピチカートは山からすっと減っていく形—— 音色の違いが目で見えます。
見出しの右の札は読むだけのもので、押しても何も起きません。 1音を1拍とみなして、直近の音の間隔からテンポを出しています。 8分音符のつもりで弾けば、数字は倍になります。
| 札 | 意味 |
|---|---|
| ♩=119 ±0% | 拍が揃っています。±のあとがばらつきです。 |
| 拍 あと3回 | 数えるにはまだ音が足りません。 |
| 拍 ±22% | ばらついているので、数字は出しません。 |
| 拍 | 弾くのをやめました。 |
録音中は 札が「ガイド ♩=120」に変わり、波形の上にいま押している長さが音符で出ます。 右端が今の音で、押しているあいだ 16分→8分→… と育ちます。 この目盛りはいつでも ♩=120 で固定です——自分の速さに合わせて動く目盛りでは、 ずれていることに気づけないからです。
「録音」を押すと、押した位置・押さえ・弓の動きを時刻つきで記録します。 もう一度押すと止まり、「再生」で同じように弾き直します。 音そのものではなく操作を残しているので、あとから設定を変えて聴き比べられます。
入れ替わります 録音中は、左の「基準ピッチ」と「指番号」が、そのまま「スラー」と「休符」のボタンに変わります。 どちらも録音中には触らない設定なので、場所を譲っています。 再生ボタンは録音中は押せません。
録音を止めるとき、何も鳴っていない長い空白を縮めます。 弾き直しや構え直しの時間だけを削るもので、ゆっくり弾いたときの間はそのまま残ります。 何秒ぶん詰めたかは画面に出ます。
間を残したいときは、録音中に「休符」を押したままにします。 押していた長さはそのまま残るので、休みを取る練習もそのとおりに聞き返せます。 ピチカートで指を置いたままにした時間も、演奏中として残ります。
スラーは「ひと弓で続けて弾いた」という録音への印です。生の音は変わりません。
「一覧」を押すと、録音の書庫が開きます。止めた直後に出る欄で名前を付ければ、 この端末に残せます(上限12件)。読み込み・名前の変更・リンクの作成・削除ができます。
一覧のいちばん上にデモ(狩人の合唱の冒頭)があります。読み込むだけで、 名前を変えたり消したりはできません。デモには音色の設定が入っていないので、 再生しながら弦の素材を替えると、同じ演奏で音の違いだけを聞き比べられます。
「リンクを作る」を押すと、その録音そのものがURLになってクリップボードに入ります。 相手がそのURLを開けば、同じ演奏が同じ調・同じ基準ピッチで再生できます。 中身はURLの「#」より後ろに入るので、どこかのサーバに預けられることはありません。
「楽譜のリンク」を押すと、何小節・何音・どのテンポになったかを知らせて、 リンクをクリップボードに写します。そのすぐ下に「おやじの楽譜で開く」が出るので、 貼り付けなくてもそこから開けます。押して開くまで通信は起きません。
テンポと拍は録音から当てはめます。弾いた間隔をそのまま丸めるのではなく、 ずれの少なさと楽譜の読みやすさを釣り合わせて決めています。 1音目は必ず小節の1拍目から始まり、長く間があいたところは小節の頭から弾き直したことにします。
4つめのモードがチューナーです。マイクで拾った音の高さと、 いちばん近い音からの隔たりをcent(半音の100分の1)で示します。 指板には、同じ高さが取れる位置が光ります。
音の高さのずれの大きさを測る単位です。半音を100に分けたものが1cent (1オクターブは1200cent)。「何Hzずれているか」で言うと高い音ほど数字が大きくなってしまうので、 どの高さでも同じ物差しで言えるように割合で数えます。
| ずれ | どのくらい |
|---|---|
| 100 cent | 半音まるごと。ドとド♯の隔たりです。 |
| 10 cent | ふたつ並べて聞くと「濁っている」と分かるくらい。 |
| 5 cent | 耳でぎりぎり分かるあたりと言われます。 |
| 3 cent | A=440Hz でおよそ 0.8Hz。単独で聞いて気づくのはまず無理です。 |
合っているとみなす幅を、測る対象で変えています——バイオリンは ±3 cent、 チェロ・声は ±10 cent。弦は糸巻を回せばその高さで止まってくれるので狭くできますが、 声は止まらないので、±3 cent は的として成り立ちません (こちらの測りかた自体のばらつきよりも狭いのです)。
横向きはチューナー専用です。円弧のメーターが画面いっぱいに出て、 真ん中に現在音、右に基準ピッチと測る対象が並びます。
演奏モードのまま横にしたときは、案内が出るだけです。 回しただけではマイクは開きません——「チューナーをひらく」を押したときだけ開きます。
できないこと 合唱の中から自分の声だけを取り出すことはできません。 相手の声がずっと小さくないと引きずられます。使えるのは「ひとりずつ」か「全員が同じ音」のときです。 また、音の大きさ(dB SPL)は出せません——マイクの感度が端末ごとに違い、ブラウザからは分からないからです。
左下の歯車を押すと設定が開きます。5つのタブに分かれていて、 いちばん最初の「設定」で音の作りを変えられます。
| つまみ | 変わるもの |
|---|---|
| 弦のモデル | 弓と弦のやりとりそのものを計算する方式。切ると以前の音に戻ります。使えない端末では自動で以前の音になります。 |
| 弦のセット | G・D・A の弦の性質。ガット寄り/標準/スチール寄り。ガットは暗くふくよか、スチールは明るくまっすぐ。 |
| E線 | E線だけ別に選べます(細め/太め/巻きE)。実物でもE線だけ単線の鋼なので、単品で選ぶのがふつうです。 |
| 弓の当たり | 弓ゾーンの真ん中に来たときの弓の強さ。強いほど倍音のあいだの雑音が減ります。 |
| 擦れ | 倍音のあいだを埋めている音。生々しさとノイズ感の両方を担っているので、弱めると雑音といっしょに生々しさも減ります。 |
| チリチリ | 高いところに伸びる雑音だけを抑えます。倍音の伸びは削りません。 |
変えると次に鳴らす音から効き、選んだ段は憶えています。迷ったら 弦のセットを「標準」に戻してください。それがこのアプリの元の音です。
聴き比べかた 録音の一覧からデモを読み込み、再生しながら弦のセットを替えてみてください。 録音には音色の設定が入っていないので、同じ演奏のまま音だけが変わります。
指板と弓ゾーンは、指をなぞっても画面が動かないようにしてあります。 そのぶん、いちど拡大されると二本指で縮められないことがあります。 指板の外(左の操作盤や余白)で二本指で縮めると戻ります。
横向きはチューナー専用です。縦に戻せば演奏に戻ります。 録音したまま横にすると止められなくなるので、横にするときは先に止めてください。
設定(歯車)の「システム」タブにセルフチェックがあり、 いまの端末で何が動いているかを測って見せてくれます。 いちばん上の「まとめてコピー」を押すと、その結果をまとめて写せます。